旅立ち
- kouryukan0922
- 2008年3月8日
- 読了時間: 3分

3年前、日本中を湧かせた5名の田舎侍が故郷を後にします。それぞれの目標に向かって出て行くのです。 思い返せば、へっつぽこ達が夏休み、冬休みと自宅の打ち込み台を打ちに、快い自転車の響きと共に毎朝通ってきたのを思い出します。みんな体も小さく、どこから見てもへっぽこ侍、弱い弱い剣道少年少女達。私の心を大きく揺さぶった剣道大好きな子供達でした。水遊びをしながら、宿題をしながら打ち込み台に立ち向かう子供達です。この何にも知らない無邪気な子達を日本武道館の大舞台へ連れて行ってやろうと私の消えかけていた夢に火をつけさせた子供達です。それから私とのひたすらの打ち込みに全身全霊をかけ立ち向かってくる、稽古で手抜きをされた覚えは一切ありません。「ただひたすら立ち向かう」この言葉がピッタリです。日本一になれた理由は、私と子供が同じ思いでただひたすら全身全霊で稽古をやり抜いたこと。父兄が私を信じてくれたこと、悪く言えば田舎の無名の剣道おっさんに騙され続けてくれたことです。それと日本一になれる稽古をする環境があったことだと思っています。 中学3年間を終えた今も私も子供達も未だに日本一への情熱は消えていません。余計に思いが強くなっている程に永遠に追い続けるでしょう。 それぞれの決めた道で目標を達成してくれると信じています。 西岡稔真が北海道、東海第四高校に。監督は、教士八段の古川和男先生です。初めてお会いしましたが剣道も強いですが実に爽やかな春風のような先生でした。「北海道は寒いですが、剣道は熱いですよ。」とても印象に残っています。世界チャンピオン、日本チャンピオンが育っています。 大坂浩一朗が茨城、水戸葵陵高校へ、平成18年度のインターハイ日本一の高校です。監督は私の大学時代の同級生で君島先生。先輩の山下がいることもあり心の中では、最初から決めていたのではないかと思います。総体を終えてから浩一郎が本気で稽古に取り組んでいる、本気になった浩一郎のこれからが本当に楽しみです。「日本一になりたい生徒が欲しい」とのことでした。日本一には一番近いと思います。 伏見拓哉が愛媛、帝京第五高校へ。平成16年度、春の選抜日本一の高校です。二宮、白石両先生の「四国から日本一を出したい。」が印象的でした。高校進学に向けここ最近、基本打ちも変わってきました。これから高校で鍛えればもっともっと良くなると思います。伸びしろが一番あるのは、この拓哉です。急激に成長するでしょう。 安田彩花、和田美咲が大阪、PL学園に。19年度、インターハイ、選抜準優勝の高校です。多くの世界大会、全日本選手権者を育て上げています。監督は、川上岑志先生です。彩花、美咲の中高コンビがどこまで育っていくのかが楽しみです。「世界大会まで行こう」が印象的でした。 しかし、寂しいものです。山下も含めこの5人が香川に残り日本一を目指す監督と一緒になりみんなで力を合わせれば目標は達成できると今でも思っています。誰も好んで可愛い我が子を知らぬ土地にたった一人で出そうとは最初から思っていません。子供の剣道に対する意識レベルが高くより上を目指すといわれれば納得せざるを得ないというのが現状です。早急な環境整備と指導者のより高い目標設定が必要です。 高校で日本一を目指すなら小学生レベルから始まり中学3年間と一緒に大切に育てすべての仲間と協力して高校で力を一つに結集する環境がなければなりません。黙って生徒が自分のの高校に来るのを待つしかない状況では全国大会出場すら長年の夢で終わってしまうでしょう。日本一など夢の夢です。目標、目的の考え方の違いはあると思いますが子供の成長は待ったなしです。出来ない理由を考えてもきりがありません。 今でも地元で育てたい思いは、変わっていません。その時が来るまで地道にコツコツ毎日、子供達と稽古に励みます。